正しい投球フォームの要点
プロ野球でも指導経験のあるトレーナーの方が正しいフォームを指導しています。
スポーツ科学で筑波大学の修士号をお持ちの方ですので、科学的な裏付けに沿った考え方になります。
(2020年6月26日 トクサンTVより)
理論編
腕は肩のラインより上げ過ぎないようにする
オーバースローで投げる際に肩が上がっていないのに腕だけ上げようとすると肩や肘に負担がかかります。
肩や胸郭から腕を上げるように心がけ、腕のラインは両肩のラインの少し上になるようにしましょう。
踏み込み足が着地する時には手首が肘より上に来るようにする
最近の理論では肘から腕を上げるのは良くないとされています。
投げる方の腕が両肩のラインより上に来る際は手首から上げるようにしましょう。
なお、踏み込み足が着地した際は手首は耳の横に到達してトップの形が完成しているのがよいと一般的に考えられています。
両肩の回転をオーバースローなら縦回転、サイドスローなら横回転にする
投げる方の肩を上げず、両肩のラインが地面に平行なままオーバースローで投げようとすると肘に負担がかかります。
そのような肩の回転はサイドスローで行います。
オーバースローで投げる際の両肩の動き方は、柔道の背負い投げのように縦回転にします。
グラブ側の肩から胸郭を開いていく
体が開かないようにするあまり、グラブ側の肩を使わずに投げると利き腕だけで投げることになり負担がかかります。
踏み込み足を着地してから上半身を徐々に打者に対して正対する際は、グラブ側の肩を開くように動かします。
実践編
(2020年6月28日 トクサンTVより)
トップの位置から肩を横回転させる
これはあくまで練習用のフォームです。
肩と腕の回転方向を近づけるためにわざと極端な形で練習しています。
肩を回す際は単に横回転させるのではなく、グラブ側の肩を下げながら開いてから回します。
この形をオーバースローで投げる際は上半身をグラブ側に傾けて利き腕側が上、グラブ側が下になるようにしていきます。
実際のスローイングでは肘の角度は90度です。それ以上肘を曲げると肘を痛めます。
体の傾け方、肩のすぼめ方を覚える
肩の回転に腕を連動させるようにして投げますが、胸郭も使って肩甲骨を前後させると上半身にもしなりができるため、軽い力で強いボールを投げることができます。
この動きをするためには胸郭への意識が必要になります。
投げ終わりの形から利き腕を前に突き出し、腕を振る練習で肩甲骨の動きを体に覚えさせます。
体の開きは上半身と骨盤が同時に回ったとき
投げる際に体を開かないように言われますが、それは骨盤と上半身が一緒に回り、踏み込み足の着地時に上半身が打者に正対する場合を指します。
踏み込み足着地の際に骨盤は打者に正対しますが、上半身が右投げなら3塁方向を向いていれば開いたとは言いません。
その状態から利き腕側の肩を開いていくのは問題ありません。
フォームを整える
今までに習ったことを踏まえ、
・肩越しで投げる目標を見て
・軸足が倒れるように前足に体重移動し
・着地のタイミングでトップを作る
ようにします。
肩越しで投げる目標を見る点は肩の入れ替えにつながります。
体重移動の際は軸足に体重を残さず、前足に全て乗せ、前足を固定して前足の股関節を中心にして体を回転させます。
踏み込み足着地の際にトップを作れるようにテイクバックは体重移動と同時に行います。
まとめ
理屈はわかってもこれを全てスローイングに組み込むことはすぐにはできません。1つ1つ反復練習して体に染み込ませて理想のフォームを習得しましょう。